Would you love me?
−5−


 


 淡々とした、単調な日々。



 比伊呂は、あくびを噛み殺す。





◇◆◇◆◇







 男は多忙だった。
 迫ったコレクションの打ち合わせ。
 衣装の最終段階のデザインのチェック。

 男はその合間に、比伊呂のレッスンをした。
 





 「そこ、背筋伸ばして」
 
 男の言葉に、従う。

 「違う。視線は、こっちだ。そう、お前はそれでなくてもお前自身が目立ってしまうのだから―――」

 ある意味褒め言葉。
 だが、今の比伊呂にとっては『ダメ』と言われているのと変わりない言葉。

 ―――服より、目立ちすぎるな。

 男の言葉が突き刺さる。

 どうすればいい?
 ジレンマに陥る。
 どうすれば、男を見返す事が出来る?

 どうすれば、男に認められる?







 「・・・呂。比伊呂」

 視線を上げると、男の顔が目の前にあった。

 「余裕だな、比伊呂。考え事が出来るなんて」
 男の口調は、先ほど比伊呂を指導していた時とはガラッと変わっていた。

 ―――肉食獣。

 比伊呂はゾッとして、背筋を伸ばした。

 「別に、考え事なんて・・・」
 「反論なんて、聞かない。言い訳なぞ、聞く耳もたない。馬鹿なペットには躯で覚えさせるだけだ」

 男の切るような言葉に、比伊呂は目の前が真っ暗になった。








◇◇◇








 「や・・・っ、あ・・・」

 頭を振って必死に訴えるが、男はニヤリと笑ってその手を緩めようとしない。

 「お仕置きだと言っただろう? 比伊呂」

 高ぶって、あとひと擦りでイケるという所で、男は煽り続けていた手を止め、比伊呂の熱の塊の根元ギュっと握りこんだ。
 イきかけていた比伊呂は、その苦痛に悶える。

「や、やっ・・・」

 イきたくて、比伊呂を握る男の手を外そうと、必死震える手でその指を引っ張る。

 「生意気な、愛玩具<ペット>だ。ご主人様の意思に反して、己の意思を突き通そうとするのか?」

 男の冷たい言葉に、比伊呂の躯は震えた。

「今日は、イかせない―――」

 男の言葉に、恐怖が躯中に広がる。

「ご、ゴメンナサイ・・・」
「―――遅い」

 男が比伊呂に見せたもの―――それは、金色に輝くリング―――に、比伊呂は大きな瞳を更に広げた。

「言う事を聞かないペットには、しっかりとした調教必要だ」

 男はそう言うと、比伊呂の恐怖で萎えてしまったソレにそのリングをはめた。
 冷たい感触と恐怖に、比伊呂は息を詰める。

「似合うじゃないか、比伊呂。ずっとしておくか?」
「・・・許して、お願い」

 怯える比伊呂に、男は傲慢な笑みを向け、ゆっくりと首を横に振った。


 ―――比伊呂には、悪魔の微笑みに見えた。








◇◇◇






 「あっ・・・ああっ・・・」

 腰を獣のように突き出し、背後よりグロテスクなディルドーを受け入れる。

「腰をもっと振ったら気持ちよくなれるよ、比伊呂。もっと従順で淫らで可愛いお前を見せてくれたら、俺はそのリングを外したくなるかもしれない」

 男は悪魔の言葉を、比伊呂の耳に囁きかける。

「いやっ・・・もぅ・・・も・・・あぁ!」

 男にスイッチを押され、比伊呂の内部を犯す真っ黒なソレは再び淫らな動きを始めた、
 奥を犯され、蠢くディルドーに、比伊呂の頭の中は真っ白になる。

 強すぎる快感。
 後ろだけで感じてしまうようになった躯。
 もっと奥を犯して欲しくて、無意識に振ってしまう腰。

「イかせて・・・お願い、イかせて・・・!」

 イきたくても、イけなくて。
 頭はもうおかしくなっているのかもしれない。
 比伊呂は、男に縋りついて、懇願する。
 プライドなど―――もう、無い。


「淫らなお前は、綺麗だよ。もっと俺を煽れ・・・・!」

 比伊呂の内部を犯していたディルドーを抜くと、男は比伊呂を己のソレで一気に貫いた。

 「ああっ!!」

 熱い男のそれで、一番犯して欲しかった奥を貫かれ、比伊呂は躯中を震わせる。
 男はそのまま比伊呂の腰を掴み、起き上がらせる。丁度、背面座位の格好になった。
 
「や、ん・・・」

 比伊呂の体重で、男がさらに奥へと侵入してきた。

「ん? イってしまったか?」

 比伊呂の先端からトロトロと流れる液体を指ですくって、男は比伊呂の目の前に持ってきた。
 羞恥で、思わず目をそむける。

「今更、照れているのか?」
 男はそういいながら、比伊呂を苦しめ続けたリングを外した。

「よく、頑張ったな。今日のお前は最高に淫らだった」
「んっ・・・あっ、ああっ」

 耳朶を噛まれ、熱い吐息と共に囁かれる、労わりの言葉。
 その優しい言葉に、涙が溢れる。

「泣くな、比伊呂。泣いてる顔もそそるが、どうせなら快感で泣け」

 男に躯を預け、比伊呂は首筋に軽く歯をたて甘えてみる。
 男が苦笑して、髪の毛に優しい落とした優しいキスに、胸が熱くなる。
 悪魔―――と、反発しながらも、男の飴と鞭の使い分けに、比伊呂は翻弄され、流されていた。
 



 激しく腰を使われ、比伊呂の息はあがる。

「イけ、比伊呂。淫らに、綺麗に、俺の腕の中で―――」
「や、イク・・・あっ―――!!」



 比伊呂が解放したと同時に、男の迸りを比伊呂は己の中で受け止めた。












2003.3.30

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