視線で殺して、魂で縛れ!

2


「ん・・・」

英治はぼんやりと目を開けた。
視線を巡らせると、そこは真っ暗闇で、窓から月の明かりがさしている。

ここは―――?
頭痛がする。

暗闇に目が慣れてくると同時に、英治は自分の身に起きたことを思い出した。
―――そうだ、オレは水島にコーヒーを入れて貰って・・・それを飲んだら・・・!!

起きあがろうとするが、手がいうことを聞かない。
どうやら、両手首をロープか何かで縛られているようだ。
足を動かしてみると・・・動かない。
足首も、手首と同じコトになっているらしい。

「よく、寝ておられましたね」

沈黙の世界に、低く響き渡る声がする。

「―――どういう事だ!コレは!!」
声の主に向かって、英治は怒鳴り声を上げた。
「どういう事――?・・・言ったでしょう、貴方は俺のモノになるのだと」

月の光が逆光で、声の主の顔は見えない。
ただ、白い一筋の煙草の煙だけが見えるだけだった。

「お前!煙草吸ってるな!?ここは、校内で、しかも生徒会室だぞ!」
英治は教師の立場になって、思わず注意してしまった。

「余裕、ですね。麻生先生。そこまで言うなら、たっぷり可愛がって上げますよ」

「可愛がる―――?ふざけるな!!」
「ふざけてなどいません。俺は本気ですよ。」
ギシッギシッという音が、静かな生徒会室に響き渡る。
影はゆったりと英治に近付き、伸びてきた手が英治の頬に触れる。

「は・な・せ!」
英治は、顔を近づけてきた影に向かって睨み付ける。
初めて顔が見える。
水島の口元にはうっすらと笑みが浮かんでいた。
「強気ですね。何時までそう言っていられるかな―――?」
水島の手は英治の頬から細い顎へと移りその先を捕らえると、クイッと持ち上げた。
「水―――――」
しかし、英治の叫び声は、水島のの口腔内に飲み込まれる。
「ん・・・うん・・・・」
驚きのあまり、食いしばっていた歯列の間に隙間が出来る。
それを見逃すはずもなく、水島の舌は隙間から口腔内へと割って入り、縮こまっていた英治の舌をからめ取り、吸い上げる。
英治は、自身の身に何が起こっているのか理解できなかった。
その舌が甘咬みされた時、一気に意識が現実に戻った。

―――オレは、水島にキスされているのか!?

「ん―――、んんっ・・・!!」
抵抗しようにも、両手両足を縛られているので思うように抵抗できない。
唯一動かせる首を振ろうとしたが、顎を押さえられてびくともしなかった。
そこで、絡んでくる舌を押し返そうと必死になるが、逆にもっと激しく絡め取られ、歯列の裏を舐め上げられると、背筋に電流のようなモノが走り、英治の躰から一気に力が抜けた。
その反応に水島は英治の口腔内を犯していた動きを止め、唇を離すと英治の目を覗き込み、ニヤリと笑った。
英治は自分の反応を信じられない思いで受けとめながら、抗議の言葉を口にした。

「―――――お前!何する気だ!!」
英治の今更な言葉に、水島は口元に苦笑いを浮かべた。
「何をするって、決まってるでしょう―――今から貴方を抱くんです」
つぅ――、と鎖骨に指を這わせる。
英治はゾクッとして首をすくめた。

抱く。
抱く・・・。
抱く―――――――?
抱くだとぉ―――――――!?

「お、オレは男だぞ!!!」
「そんなこと、見れば判りますよ」
英治の言葉を無視して、水島はシャツのボタンを一つずつはずしていく。
「やめ、今なら冗談ですむから・・・」
声が引きつる。
「冗談なんかでは済ませませんよ。」
カチャカチャ、というベルトをはずす音が静かな部屋に響く。
「お、お前なら女の子にももてるだろう・・・何もオレなんか・・・」
どうにか水島の気を逸らそうと、英治は上擦った声で必死に説得を試みる。

“俺のモノにする―――”
そう言われた時、力ずくで従わされるのだと思った。
だが――――――
こんな方法だとは――――。

シャツのボタンはすべてはずされて胸元をはだけられた。
ベルトは抜き取られ、パンツは足下まで引きずり下ろされる。

「み、みずしまぁ・・・」
自分の格好があまりにも情けない。
藻掻いても、両手両足を縛っている紐はビクともしない。
英治が出来ることは、再びのしかかってきた水島の胸を必死に押し返す事だけだった。
「もう、黙っていなさい」
水島は、押し返された腕を右手で掴み英治の頭上で押さえると、再び唇を合わせてきた。

「んふっ・・・・・ぁ・・・・・・」
またしても、簡単に進入を許した水島の舌は、英治の口腔内を自由に蠢く。
そして、あいている左手は、顎から耳朶の後ろをくすぐり、首筋から鎖骨を撫で上げると胸の突起物に軽く爪を立てた。

「んん・・・!!」
英治の背が弓なりになって、目が見開かれた。

「感じるみたいですね。もっと、欲しい・・・?」
水島は唇を離してニヤリと笑うと、もう一度そのまわりを撫で上げ、親指と人差し指で挟みキュッと締め付けた。

「ぁは・・・」

信じられない。
信じられない。
女でもないのに、そんな所を触られて反応している自分に。
教え子に愛撫されて、声を上げてしまう自分に。

水島の唇は瞼の上から目尻、耳朶に達すると、そこを優しく噛む。
「ひゃあ・・・」
そのたび反応する英治に水島は目を細めながら、耳元に熱い息を吹きかけ囁く。
「イイですか・・・?麻生先生」
答えを聞かず、そのまま舌をそっと挿し入れる。

水島の熱い息を吹きかけられ、セクシャルな声で囁かれただけでも、躰は反応してしまうのに・・・!!
ピチャッ
クチュッ
耳の中に、濡れた音と感触。
「やめ・・・・やぁ・・・・!」
頭がおかしくなる。
英治の声は鳴き声になる。

「フフッ、こんなに感度がイイなんて・・・うれしい誤算ですよ。」
英治の止めて欲しいという哀願など水島は聞くわけもなく、水島の舌は耳から首筋を舐め上げる。
「あぁ・・・」
抵抗していた腕の力は完全に抜け、感覚は研ぎ澄まされていく。
鎖骨を強く吸い上げられ、チリッという小さな痛みと背筋を駆け抜ける甘い電流。
そのまま、水島の舌は指にイタズラされている反対側の胸の突起物に到達した。
まわりを舐められ、舌で転がされ、甘く歯をたてられる。
そのたび、英治の躰は魚のようにビクビクッと飛び上がり、濡れた甘い声を上げた。

「お願い・・・もう、もうやめ・・・て、おかしくなる・・・・」
目尻にたまっていた涙がツゥっと一筋流れ落ちる。
それに誘われるように水島は顔を上げ、流れ落ちた涙を舌ですくい取る。
「おかしくなって。俺の中でおかしくなって・・・・・」
頬にキスをしながら囁く水島の声は、甘く切ない。

胸の突起をいじっていた手は、
脇腹を縦横に撫で、
腰をさすり、
臍の下から下着をくぐり、熱くなりかけている英治の昂ぶりを優しく掴みスッと撫で上げた。


「あああぁ・・・・!!」


続く・・・・


次の更新予定は・・・カウンター5000を越えた日です。


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