「やっ・・・やめ!あ、あぁっ―――」



「拒否は認めないと、云っていただろう?」

男は低く笑うと、比伊呂の蕾に差し込んでいた2本の指を抜いた。

「あっ・・・」

思わず漏れた声に、比伊呂は唇を噛み締める。
クチュリと濡れた音を漏らした比伊呂の蕾は、そのまま誘い込むようにヒクヒクと蠢いていた。

「物欲しそうにしているぞ、淫らな躰だな。」

男はそんな比伊呂をフンッと鼻で笑い、嘲る。

「くっ・・・!」

屈辱的な言葉に比伊呂は男を睨み付けると、男は比伊呂の頬を大きな手で挟んだ。

「―――反抗も、認めないと云っていたよな?」








カーテンを引いた真っ暗な部屋。
無機質な部屋に、ポツンと真ん中に置いてある大きなベット。
唯一の調度品であるランプが薄暗い光を放ち、比伊呂の躰の上に覆い被さる男の顔を映していた。



覗き込んでくる男の瞳に、比伊呂は思わず顔を反らしてしまう。

「お前が、誓ったことだ。この2週間お前は俺の、下僕であり玩具になると―――」
「わ、わかってるよっ!」
「下僕がその態度か?―――おしおきが必要だな?比伊呂。」

“おしおき”という言葉に、比伊呂の肩がビクリッと揺れる。
―――そう、その言葉がこの男から出たときは・・・・・・・・。

「今日はローターで許してやろう。お前の泣き叫ぶのも見物だったが、感じてる顔も楽しいからな」

そう云うと、男はベットの引出からピンク色で卵形の小さなローターを出してきた。
比伊呂はそれを見て、ホッと息を吐く。
昨日も男は反抗した比伊呂に“お仕置き”だと云って、黒光りしたグロテスクな男性器を模倣したモノをあまり馴らされてもいない比伊呂の蕾に突き刺してきたのだ。
比伊呂は、意地も誇りもプライドも投げ捨てて、泣き叫び男に許しを請うた。
あんな目にあうのは、もう嫌だった。

「今日はしっかり濡らしてやっただろう?」
男は低く笑った。
屈辱的な言葉。
だが、反抗したらヒドイ目に遭うのは判っている。
比伊呂に出来ることは、痛みを伴うことなくローターを受け入れるために、力を抜くだけだ。

男は舌でローターを濡らすと、比伊呂の蕾にゆっくりとソレを挿入した。
クチュ・・・
「ぁ―――」
この数日間で馴らされた躰は、比伊呂の気持ちと反対にその異物を受け入れようと反応する。

「ココ、だったかな。比伊呂のイイ所は―――」
意志を持って体の中に入れられているソレは、比伊呂の前立腺に触れた。
「あっ、ぁっ・・・」
ビクビクッと躰が震える。
「良さそうだな・・・。スイッチを入れてやろう」
男はそう云うと、ローターのスイッチを入れた。
ブブブブブブッ・・・と、低い音が静かな部屋に響く。

「ああっ!あっはぁっ・・・!」
比伊呂の躰が、魚のように跳ねる。
勃ちあがっていた比伊呂の分身は一気に張りつめ、解き放った。
白い液体が比伊呂の腹や胸に飛び散る。
だが、男はローターのスイッチを切ろうとはしなかった。
前立腺を刺激する微妙な振動に、直ぐに比伊呂のソレはもう一度力を持ち始める。
「もっ・・・やぁ・・・」
感じすぎて、苦しい。
悶える比伊呂の姿を、男は面白そうに見ている。

「イケ、よ。ほら・・・もっと」
男はそう云うと、比伊呂の立ち上がり震えているモノに、手を伸ばす。
「ダメッ・・・・・!」
触れられた途端、もう一度解き放つ。
先ほどはなった量より、少量のサラサラした液体が飛び出した。

「お?もう在庫ギレか?毎日毎日出してるからなぁ」
おかしそうに笑う男の声に、殺意を覚える。
だが―――

「もっ・・・もう・・・」

出てくる声は、情けないぐらい掠れている。
そして、助けを求めることばかり。

「抜いて―――」
これ以上の前立腺への直接的な刺激は、快感を通り越して苦痛でしかなくなっている。

「―――抜いたら、お仕置きにならないだろ?」
おかしそうに、男は云い放った。

「許してっ」
懇願する。
もう、苦しくて・・・でも、躰は刺激でまたまた反応しつつあった。

「どうしようかなぁ・・・」
「あんたの・・・あんたのにして・・・!!」

機械に同じ場所を刺激されるより、男のモノを受け入れる方が、永遠に続きそうな苦痛としか取れない刺激より、いくぶん楽だ。

「ほぅ、お前からそんな言葉を聞くなんてな。」

比伊呂のエベレストのように高いプライドをうち砕いた男は、少々驚いた顔をした。
そして、ニヤリと笑う。

「俺を、しっかり勃たせてくれたら、挿れてやろう」

男の言葉に、藁をも縋る気持ちで比伊呂は視線を上げる。
未だに、躰を刺激し続けるモノに耐え熱い息を吐きながら、男の股間へと手をさしのべる。
ジッパーを下げ、ほとんど反応していない男のソレを取り出す。
指で扱い、少し力を持ったソレを口に含んだ。

「ふぐっ・・・」

数日前には、自分が男のモノを咥えるなんて比伊呂には想像つかなかった。
だが、ソレも今では必死にしている―――

「淫乱―――」

男が比伊呂の耳元に囁く。
吐息が熱い。
男も感じているのだろう。
比伊呂は必死に舌を動かし、男を高ぶらせる努力をした。

「んっ・・・・・!」

グチュリ
イヤラシイ音をたてながら、比伊呂の蕾からピンクのローターが引き抜かれた。

「こいよ、比伊呂。自分で挿れるんだ―――」

―――悪魔

寝転がった男に、比伊呂はノロノロと跨る。
そして、勃ちあがっている男のモノに手を添えると、ゆっくりと腰を落としていった。

「んっ・・・・・あぅん・・・」

広がった先端部分を受け入れるのは、やはり苦しい。
苦痛の声をあげ、一瞬腰を浮かしかけた比伊呂の腰を男は掴むと、グッと舌から突き上げた。

「ああっ―――!!」

灼熱の固まりを奥まで受け入れる。
先ほどの機械とは全く違う感触。
頭が、変になる―――

「ほら、踊れ。比伊呂―――」
数回突き上げると、男は全く動かなくなった。
焦れったい刺激。
耐えきれずに、比伊呂は自ら腰を動かす。

「あっ、あぁ・・・!うんっ・・・」

髪を振り乱し、半開きの口からは紅い舌が見え隠れする。
眉間に皺を寄せながら、快感だけを追いかける比伊呂の顔を男は満足げに見つめていた。
だが、比伊呂はしばらくすると男の胸に崩れ落ちた。
先ほどから何度もイカされ、体力の限界にきていたのだ。

「駄目・・・も・・・動けない・・・・」
「じゃ、このまま、だな」
「やっ・・・・!」

こんな状態で放って置かれたら、ソレこそ地獄だ。

「お願い・・・お願い!」

力つきた比伊呂は、男の胸に縋り付く。

「可愛いな、比伊呂。いつもソレぐらい可愛いと扱いやすいんだがな」

ふざけるな、と比伊呂は心の中で毒づく。
だが、口から出る言葉は―――

「動いて・・・」

男の唇に自分の唇を合わせる。
男に舌を絡め、求める。
クッと男は喉の奥で笑い、比伊呂の躰を抱き抱えると、そのまま躰を反転させた。

「あっあぁ―――」

男の激しい動きに、比伊呂は縋り付く。
熱い楔をギリギリまで抜かれ、一気に突き立てられる。

「ダメッ、い・・・!!」

目の前がスパークする。
薄れゆく意識のなかで、比伊呂はいつも思う―――




―――何故、何故こんな事になったんだ・・・!!


2001.5.12
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