100000hits記念。
SHINE番外編。
Come On A
My
House




桜庭遙は、高い塀とその後ろにそびえ立つ大きな建物に開いた口がふさがらなかった。

「り、涼・・・?」
「ん?ちょっと待ってて、セキュリティに連絡して門開けて貰うから。」
遙の戸惑いなど判るわけもない涼は、携帯電話を手に何処かへ電話した。
少しするとピッチリと閉まっていた門がザッと開き、中から数人の警備員らしき人物がでてくる。

「涼様。お帰りなさいませ。そちらが・・・?」
「そ。俺の大切な友達。顔覚えておいてくれよ。」
「はい。」
威厳に満ちた態度で涼は警備員と言葉を交わすと、遙の方に振り向きニッコリ笑った。

「おいで、遙。我が家にようこそ。」


◇◆◇◆◇


「遙。今度の日曜、俺ん家遊びに来る?」

昼休み。
いつもの屋上で、突然思い立ったように涼は口を開いた。

「あ、やーらし。家に連れ込んで何する気だよ〜」
横から智紀がチャチャを入れる。
が、涼は全く無視をして遙の返事を待った。
「いいけど・・・。いいの?」
俺が行っても。
小首を傾げて涼に尋ねる遙の姿に、ソコにいた3人は一斉に視線を反らせた。

演劇祭の後、涼と初めてそう云う関係になってから、遙が無意識に醸し出す色香には、涼はもちろん智紀や雅也・クラスメイト達は、度々クラクラさせられていた。
遙本人が気付いていない分、それは犯罪的になりつつあった。



結局、日曜日遙は涼の家を尋ねる事となり、車で迎えに行くという涼の申し出を断った遙は、最寄り駅まで彼に迎えに来て貰って二人で歩いて家を尋ねたのだった。

◇◇◇


「う、わぁ・・・・」
門を入ると、ソコには遙の信じられない世界が広がっていた。

咲き乱れる花々。
大きな噴水。
石畳の道。

―――ホテルみたいだ・・・。
遙が呆然としていると、涼は肩をすくめて「タダの成金なんだよ・・・」と苦笑した。



涼に連れられて、遙は更に驚く羽目となった。
大きな扉を内側から開けられた瞬間、目に入ってきたのは、大きな階段。
3階まで吹き抜けのエントランスに、巨大なシャンデリア。
中央にある大きな階段には紅い絨毯が敷かれてあった。
まるで、中世ヨーロッパの城だ。
「オヤジの、趣味なんだ・・・・」
マジ、趣味悪んだよ・・・。
本当に嫌そうに云う涼に、遙はクスリと笑った。



「さ、俺の部屋おいでよ・・・」
「ん。」
差し出された手に、遙は自分の手を差し出そうとした時。

「涼。珍しいな。休みの日に家にいるなんて―――客か?」
頭上からの声に見上げると、階段の所に1人の男が立っていた。

「ゲッ、兄貴。なんで・・・居るんだよ。」
「ちょっと、書類を取りに戻ってきたんだよ。初めての顔だね?雅也や智紀君以外に友達を連れてくるなんて、初めてじゃないか」
「か・・・関係ないだろっ、早く会社いけよ!!」
少し取り乱している様子の涼を、遙は不思議そうに見る。
男は涼の云うことなど全く気にした風もなく、悠然と階段を下り二人の方へと歩いてきた。
涼は、さっと遙を自分の背に隠す。

「なぁに、隠すんだ?俺にも紹介してくれるだろ」
「が、学校の友達だっ。いいだろ?もう、行けよ」

焦る涼の姿は珍しい。
いつもマイペースで、自分のリズムを崩すことのない人間だからだ。(ちなみに、涼のリズムを一番崩させる人間は遙自身であるということを、本人は全く気付いていない。)

涼の背後にしっかりと隠されながら、遙はその脇からしげしげと涼の兄であるという男を見た。
やはり兄弟と云うだけあって、顔かたちは似ていた。
だが、涼に比べると、少し線が細く柔らかいオーラをまとっている。
涼が持ち前のカリスマ的威厳と存在感でアピールするとすれば、兄である彼はきっと柔和さと巧みな話術でアピールするのであろう。
涼とは違うカリスマがあるように、遙には見えた。

―――顔・・・似てるよな・・・・。
数年後、涼もあんな感じになるんだろうか?
もう少し、線は太いだろうけど・・・。

ぼー、と涼の兄を見ていた遙に気付いた彼は、ニッコリ笑って遙に話しかけた。
「ハジメマシテ、だよね。俺は涼の兄で、槇です。」
「あ、はい。ハジメマシテ。籐華学園の2年、桜庭遙です・・・。」
「遙、答えなくていいって。」
焦って、例をした遙を止めた涼は、兄の槇にバシッと頭を叩かれた。
「なぁに、生意気な事云ってるんだ。でも、そう、なるほど。ふーん・・・・」
槇は遙をジッと見つめて、ニヤニヤッと弟の方を見た。
「うんうん。オヤジやお袋がいない日を選んで連れてくるわけだ。二人がいたら取り上げられるな・・・。あの二人面食いだから。」
「お前もだろう・・・。だから今日は絶好の―――」
ブツブツ云う涼を、もう一度槇は叩く。
「悪いことばっか考えてんじゃねぇの。で、雅也や智紀君は?」
「二人ともデート。」
先日誘ったのだが、雅也には満面の笑みで、智紀には苦笑で断られてしまった。
「智紀君はまだしも、雅也は・・・。」
「そ、遂に見つかったの。」
「ふーん、それはそれは・・・・」
槇は嬉しそうに肯いた。

「兄貴、会社行かなくていいのか?」
「あ・・・そろそろやばいな。」
時計を見て、槇は溜息を吐いた。
「じゃ、遙君ごゆっくり。また今度は一緒にゆっくり話をしようね」
最後まで涼が背から出さなかった遙に、槇は手を振って出ていってしまった。

「くっそ・・・・兄貴にだけは会わせたくなかったのに・・・・」
本当に悔しそうに云う涼に、遙は色々聞きたかったが聞き出せなかった。


◇◇◇


「・・・・・・・なんか、ここだけで家・一軒分みたいだ。」
遙が呟くことも無理はなかった。
涼の部屋、と案内されたところは、15畳はあろうかという大きな部屋。
大きなソファーに、大理石のテーブル。
それに大画面のテレビ。
それぞれシャワールーム・書斎・寝室が、その部屋から繋がっていた。

「・・・・・オヤジの・・・・趣味なんだ」
天井からかかるシャンデリアを見ながら、涼は大げさに溜息を吐く。
「ふーん。お父さん。ロココ調が好きなの?」
振り返った遙に、涼はギュッと抱きついた。
「あんなオヤジのことなんか・・・・放っておいて、遙―――」
「りょ・・・なんだよ、急に!」
耳朶を噛み、甘い吐息を遙の首筋かける涼に、遙は身をよじって抵抗した。
「1週間してないんだよ?・・・・俺、もう我慢できない」
「涼!」
簡単に抱きかかえられ、奥の寝室へと連れて行かれる。
「涼。俺、怒るよ。」
大きなキングサイズのベットに下ろされて、遙は涼を睨み付けた。

「遙・・・愛してる。」
涼は遙に被さりながら、囁くように云った。
「愛してる。・・・・だから、遙が欲しい。遙としたい。」
そう云われてしまうと、遙の躰からどうも力が抜けてしまう。
「遙を今すぐ抱きたい。遙が今すぐ欲しい。遙と今すぐしたい。」
顔中に落とされるキス。
こうされると、もう、諦めてしまうしかないような気がする・・・と遙は思った。
だって、彼のことは言葉で云い表せないほど好きなのだ。
こうして体当たりで彼に表現されてしまうと、意地も理性も何もかもがどうでもよくなってしまう。
ただ、こうして躰を任せて―――

「涼って、どうしていつもそう体当たりなんだよ・・・」
「遙を抱きたい。欲しいって気持ちに、プライドも何もいらないから。」
こうして断言してしまえる強さ。
これも・・・何もかもが愛しい。

「汗・・・かいてるけど」
「遙の汗の匂いなら、興奮する。」
「・・・・・・・・・・・・」

いつも。
いつもこうして、許してしまうのだ。

「―――涼。好きだよ。」
「は、遙―――」
ほらね・・・。


◇◆◇◆◇


休日。
ハジメテ彼の家を尋ねた日。
でも、結局いつもと同じ様な日。



END


大型犬とかいて、東雲涼と読む(大嘘)
遙は、流されているだけのような気がします。
はい。
タイトルは、水貴の好きな曲『Come On A My House』から、そのまま取りました。
誰が唄ってるとかは実は知らないんですが、かなり昔のアメリカ(?)の曲です。
日本では、『家においでよ』って云う題名で、日本人の方が日本語訳で歌ってたような。

今回のテーマ「休日」ということで、
なにげない、何気ない休日を書いてみよう、と思ったのですが。
何気ない(どうでもいい?)・・・話って書くのこんなにムズカシイとは思いませんでした。
溜息。
だって、自分で読んでいても面白くないんだもん(><)
というわけで、サービスサービス(笑)・・・・ではないですがちょいと二人の戯れを・・・。
このページに隠してみました。ほら、ソコソコ 
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