ONEDAY
――渚のある一日――



人肌というモノは・・・なかなか慣れないモノだ。
―――だが、こんなにも自分を安心させてくれるモノだとは・・・知らなかった。



渚は、自己の覚醒と共に感じた人肌の感触と温かさに、一瞬身を固くした。
だがすぐに、博隆の腕とぬくもりだと思いだし、躰の力を自然と抜いた。
まだまだ眠りの世界にいる博隆は、時折、無意識に離れていこうとする渚を、自分の胸の内に引き寄せ、抱きしめる。
そして博隆の心臓の音を聞きながら、渚はもう一度、微睡むのである。

―――渚は、毎朝繰り広げられるこの時間がスキだった。

しかし、この幸せなひとときも、博隆が目覚めるまでの話である。



「あ・・・」
普段では決して聞けない甘い声が、渚の口からついて出る。
「やめ・・・ろ、博隆・・・」
「こっちは嫌がっていないようだぜ」
渚の下肢に伸ばされた手は、簡単に渚を煽っていく。
「あ、朝・・・だからだ・・・コレ以上したら・・・殺す」
息を弾ませながら渚は、己の頭上でニヤニヤしている博隆を睨み付ける。
「ほら、朝だから、俺も・・・」
渚の太股に押しつけてきた博隆も、熱くたぎっていた。
「今日・・・体育・・・・あぁ―――」
昨日の夜ずっと博隆を受け入れていた渚の奥は、強引に入ってきた博隆をたやすく受けとめる。
「昨日の俺のが残ってて、滑りがいいぜ、渚―――?」
「んっんっんぁっ・・・・ぶっ・・・殺す・・・ひぁ――――」
「なに云ってんだ。こんなにしておいて、ほらほら――――」
「あぁあ――――」

微睡んでいた意識は一気に覚醒し、そのまま朝の激しい運動へ突入する――――
これが、2人の朝の目覚めである。


◇◆◇◆◇


「まじで、そんなに怒らなくてもいいだろう?」
「・・・」
「お前も、楽しんでたじゃねぇか〜、2回も出して」
博隆は腰を引き寄せ、耳元で囁く。
「黙れ―――。それ以上云ったら、今度は左だけじゃすまないぞ」
本気で切れそうな渚の声に、「降参、降参」と渚の腰にまわしていた手を離し、運動の後、思いっきり渚に殴られた左頬をさすった。



学校の食堂へ着くと、一気に2人に視線が集まる。
お互い、この学校の有名人だからだ。
しかも、同室になってから、かなり2人の中は親密だと生徒達の中で囁かれている。
2人に真相を聞くと――――
博隆は「渚は俺のダーリンだから、手を出したら殺す。」
と軽く答え
渚は、無言で質問者に冷たい視線を投げかけた。

本当のところは結局誰も判らず、ウワサがウワサを呼んだ。
判っている事は、渚の雰囲気が日増しに艶っぽく・色っぽくなり、みんなが息を呑んで見てしまうことが増えた事だけである。

まわりの注目など、全く気にせず黙々と食べる渚。
そんな渚に、話しかけ、にらみ返されても飽きることなくちょっかいをかけていく博隆。

これが、食堂で見られる2人の様子である。


◇◆◇◆◇


2人はクラスは違うので、別々に授業を受ける。
やっとホッと出来る時間
そう渚はいつも思う。

今日の1限は体育。
渚は教室で着替えていると、クラスメイトの一人が声をかけてきた。
「水野―――?なんだ、その紅い痕」
「えっ――――」
指を指されたところを思わず見る。
見えにくい腕の内側――――。
紅い痕がある。
何の痕かは一瞬で理解した。
「蚊だ」
素っ気なく答え、渚はすぐに体操服を着た。

蚊だ、蚊。
悪い蚊だ。
痕は残すなと云ったのに。
毎回体育の度に「虫除け」と噛みついていく・・・・・・・。

あの馬鹿野郎が――――!!

どんどん、渚の目つきが剣呑になっていくため、それ以上クラスメイトは質問できなかった。



昼休み。
渚はクラスメイトに誘われて学食へ行くと、前から博隆が数人の男と共に歩いてくる。
すれ違う寸前、渚はスッと博隆の横により――――

「グッ――――」
「博隆さん」
「あんた、何をしたんだ」
しかめ面をして、腹部をおさえて跪いた博隆に、男達が焦って声をかけ、渚を威嚇してくる。

「そいつには――――手を出すな。」
「博隆さん――――」
「手ぇ出したら、ぶっ殺す。」
「・・・・」
博隆の本気の声に、男達は何も云えなくなった。

「博隆―――」
まだ、腹部を抱えて跪いている博隆に、渚の声がかかる。
「今度、あんな事やってみろ、今度はそんなモノじゃすまさない――――」
ヒラヒラと博隆を殴った手を振ると、渚はクラスメイトに声をかけ、その場を離れた。

「水野・・・」
「いい、気にするな。」
「でも・・・」
「あんな、ヤクザほっとけ――――」



これが、2人の学園生活の一部である。


◇◆◇◆◇


夕食を済ませると、渚は寮の自習室へ向かう。
消灯時間前まで、そこで勉強をする。
チラリと時計を見て、消灯30分前というのを確認して渚は部屋に戻った。

よかった、まだ戻ってきていない。

同室者はまだ部屋には居らず、渚はホッとして浴室へ向かった。

―――渚は一度、博隆が部屋にいるときシャワーを浴びて、思い出したくもない酷い目にあったのだ。

ユニットバスでシャワーを浴び、髪の毛、全身を洗い流すして、浴室から出た。
髪の毛をドライヤーで乾かしながら、冷蔵庫からペットボトルを出し、のどを潤す。
ベットに転がりながら、昨日読みかけだった本を開いた。

―――渚は、この穏やかな時間もスキだった。

しかし、この穏やかひとときも、博隆が部屋に戻るまでの話である。



ガチャ

扉を開ける音がする。
博隆が戻ってきたのだ。
渚はベットに潜り込み、寝たフリをした。
これは、一応の抵抗だった。

「渚―――」
「―――――」
「なーぎさ、ちゃん―――」
「―――――」
「・・・・・・・・・・」

ガバッ
「グッ」
「やっぱ、起きてるじゃん」
いきなり渚の上に飛び乗ってきた博隆は、渚の反応を聞いて上機嫌で布団を剥がした。

「渚、しよーぜ。」
そういいながら、博隆の手は、渚のパジャマのボタンに掛かる。
「・・・俺は、疲れてるんだが」
「いいじゃん、したいんだよー」
脱がせつつ、胸の突起物にイタズラを仕掛ける。
「んっ―――今日は・・・体育あったんだ」
「な―――」
「・・・・・」
ズボンにかかった時点で、渚は諦めて、躰の力を抜いた。



一度、本気で3日間抵抗したことがあった。
渚と博隆はほぼ同じ体格をしているため、渚の本気の抵抗の前では博隆も事に及ぶことは出来なかった。
だが、3日目―――
部屋に戻ってくると真っ暗で、電気をつけようと、スイッチに向かったとき、後ろから羽交い締めにされ、無理矢理縛られて、どこからか手にいれてきた“媚薬”を使われ、明け方まで、啼かされた。
次の日・・・全く動けなくなるくらいに―――。

あれ以来、渚は本当にダメな時以外、抵抗をするのは止めたのだ―――。



「ああっ―――」
この数ヶ月で、完璧に博隆に開発された渚の躰は、ポイントを突かれるたびビクビクと反応した。
「もう、こんなになってるぜ―――ダーリン」
「だ・・・・まれ―――!」
博隆は、言葉でも渚を犯す。
そして、この屈辱的な言葉を受けて・・・渚は唇をかみしめながらも、一段と煽られる。

「んあぁっ・・・ああ・・・・・・」
奥の感じるところを指で引っかかれ、渚の躰は反り返った。
限界が近い。
それを感じとった博隆は渚の足を抱えあげ、一気に奥へと突きい挿れた。

「んあっ、うん・・・・あはぁっ・・・・」
濡れた音が響き渡る。
この体位は、苦しいのだが、お互いの顔が見えるので、渚は好きだった。
博隆が、ギュッと眉を寄せながら、真剣な顔で渚を揺すりあげる。
「くあぁ・・・・・やぁ―――」
お互いが本能だけになり、躰をぶつけ合う。
熱い吐息
流れる汗
全てがお互いを・・・煽る。

「あぁ・・・んあ・・・・ああ・・・」
「渚・・・渚・・・・・イイか」
耳朶を咬みながら、博隆はかき口説く。
「イイ・・・・イイ―――博隆ぁ」
眉を潜め、泣きそうな・・・それでいて、最高に艶っぽい表情。
博隆は、この渚の顔が見たいために追い上げる。
「ああ・・・・・愛してるぜ―――渚」
「んん―――ああぁぁぁ―――」

―――そして渚は、全てをさらけ出せるこの時間もスキだった。
これが、2人の夜である。


◇◆◇◆◇


「―――――んぁ」
「・・・・・・」
「やめ・・・ろ、博隆―――抜けよ・・・・・・・!!」
「イイじゃねえか。せっかく一晩、はめっぱなしだったんだし、このまま朝の1RDを・・・・」
「ばっかやろ・・・・んんっ・・・・・・そんな体力・・・・」
渚の息が上がる。
流石に昨日意識がなくなるまでやって、朝からはキツイ。
だが・・・・・・。
「ほら、お前も濡れてきたぜ」
前を扱われ、後ろを攻められ、渚自身は力を取り戻しつつあった。
「イイよ―――渚」
一気に奥まで突かれる。

「ああぁ―――この・・・・絶倫男が―――!!!」



―――こうして、また渚の一日が始まる。



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