元キリ番企画用小説
「藤岡&一樹」シリーズ番外編



Kiss&Bed


―――不覚だな・・・。
藤岡は、ベットの上で熱い吐息を吐いた。

大学に入っての一人暮らし。
親のしがらみから少し解放された気分になって、藤岡は快適に過ごしていた。
そして最大の魅力は、恋人である一樹をいつでも呼んで、いつでも抱き合える事だ。
全てが順調に
全てがうまくいっていると思っていたのに・・・。

「ゴホッ」
喉が焼けるように痛い・・・。


一人暮らしでの最大の敵。
それは、病気である。

2〜3日前から、ちょっと調子が悪かった。
そしてそんな時に限って、友永先輩の魔の手が伸びてくるのだ。


◇◆◇◆◇


「藤岡、徹マンな。」
「はぁ?」
相変わらず、突然の誘い。

「オレとお前と見崎と崎守。せっかくだから松華メンバーでしようって話になったんだよ。」
「誰と誰が、しようって話をしたんですか・・・」
判ってるが、あえて聞く。
「崎守とオレ」
期待通りの答えを、彼は嬉しそうに云う。
「なんだよ、その顔は!まさか嫌とは云わないだろうなっ!!」
藤岡の露骨に嫌そうな顔が、やっと友永に通じたらしい。
「見崎はすぐOKくれたぞ!!」
そりゃあ・・・あの人はすぐOK出すだろう。
見崎も、何でもかんでもOK出すんじゃなくて、焦らすとか惑わすとかを覚えて、振り回されてばかりじゃなくて、時には振り回してやればいいのだ―――

―――万民の平和のため、早く犯ってしまえって云ってるのに。見崎先輩も友永先輩にだけはホント弱いな・・・。

藤岡は、未だに友永に手を出せずじまいでいる見崎に対し、罵詈雑言を頭の中で繰り返していた。

「じゃ、そう云うわけで。7時に、いつもの雀荘でなっ!」
友永は云うだけ云って、藤岡の確認も取らず去っていく。

―――ホントにあの人だけは・・・・。

藤岡の今日のスケジュールは、ココで全て決定した。


体調が悪い中での、徹夜マージャン。
雀荘は、煙草の煙に包まれ空気も悪い。
体力が落ちている藤岡には、最悪の条件だった。

そして、少し咳をしながら、明け方帰宅。
躰中染みついた煙草の匂いを消したくて、シャワーを浴びたのはいいが、髪の毛も乾かさずダウン。
昼過ぎに目覚めると、激しい頭痛と目眩。
躰中の怠さに、藤岡は自分が風邪を引いたことを悟ったのだった。


◇◆◇◆◇


―――喉が、乾く・・・。
だが、ソコに見えている冷蔵庫まで行くのも億劫だ。
水・・・。

その時、枕元の携帯電話が鳴った。
手を伸ばし、相手の名前を見て通話ボタンを押した。

『零?オレだけど・・・。』
恋人の声は、それだけで辛い気持ちが楽になる。

『今日、そっちいっても、イイ?』
ずっと耳元で聞いていたい声。

『零・・・?』
いくら喋っても返事をしない藤岡に、一樹は不安そうな声を出した。

「一樹―――」
情けないぐらい掠れた声。
こんな声、一樹に聞かせたくなかった。

『零っ?!どうしたんだ??その声―――』
「ちょっと風邪を引いたみたいだ。大丈夫、たいしたことない。」
『ダメだよっ。風邪を馬鹿にしたら・・・!!待ってて、オレ―――』
一樹は何事かを口走ると、すぐに携帯を切ってしまった。
藤岡にはもう一度かけ直す力はなく、そのまますぅーと意識を失った。


◇◇◇


額に冷たいモノを感じ、藤岡は重たい瞼を開けると一樹が覗き込んでいた。
「零?目・・・覚めた?」
「か・・・ずき?」
問いかけると、一樹はニッコリ笑って「うん」と答えた。

「今、何時・・・?」
「9時過ぎかな・・・零、結構寝てたから」
―――9時か・・・。結構寝てたんだな。
ふと窓に視線を向けると、外は真っ暗だった。

「零、オレが来て、熱冷まし飲ませたりしたこと全然覚えてねぇの?」
ひんやりとしたタオルで藤岡の顔を拭いながら、一樹は不思議そうに尋ねる。
「ああ・・・全く・・・・」
いつ一樹が来たか、ましてや薬を飲ませて貰ったことなど藤岡は全く覚えていなかった。
怠さがマシになっており、頭痛もほとんどしなくなっている。

「熱も・・・だいぶ下がったみたいだな〜よかった」
一樹は藤岡から取り上げた体温計を見て、ホッと息を付いていた。

「悪かった。せっかく来てくれたのに・・・」
すまなさそうな顔をする藤岡に、一樹はブンブンと首を振った。
「そんなの、全然気にするなよ。気付いて良かった。零、具合悪いんだったらオレ呼んでくれていいんだからなっ!!」
自分を頼ろうとしてくれない恋人に、一樹は少々非難を込めた目で睨み付けた。
そんな様子の一樹に、藤岡はフッと笑いながら手を伸ばした。
「ありがとう。感謝してるよ」
「・・・って、零。ど、どこ触ってる―――」
藤岡の手は、ベットの脇で座っていた一樹の太股を微妙なタッチで這っている。

「一樹・・・」
風邪の所為か、少し掠れた・・・吐息を吐くような、声。
一樹は心臓が、ドキッと脈打ったのを感じた。
そんな一樹の様子を楽しそうに見つめながら、藤岡は一樹のシャツに手を伸ばす。
裾から肌に手を滑らせ、臍から脇腹へと一樹の官能のポイントを微妙に擦る。
「・・・んっ、零っ。病人だろぉ。大人しく―――」
「一樹が、欲しい・・・・・」

熱で潤んだ、瞳。
うっすらと赤く染まった、目元。
乾いた唇を舐める紅い、舌。
見下ろした藤岡の姿に、一樹は躰中が熱くなった。

「零―――」
ゆっくりと一樹は、藤岡の顔に自分の顔を近付ける。
首の後ろに藤岡の腕が回ると同時に、一樹は藤岡に引き寄せられ唇を重ねられた。

「あっ・・・うんっ・・・ふぁ・・・」
普段より熱い藤岡の舌に攻められ、一樹は既に意識が朦朧としてきていた。
普段より荒っぽく攻めてくる藤岡は、少し息苦しそうで・・・。
だが、眉間に皺を寄せ切なそうに一樹を見つめる藤岡の瞳は、一樹の胸を、躰を、一層高ぶらせる。

「一樹・・・服、脱いで―――」
「えっ・・・?」
思わぬ言葉に、一樹の意識が現実に戻る。

「今日の俺は、一樹の服を脱がすこともできない・・・だから、一樹が脱いで」
「でも・・・」
自分で脱ぐという行為は、流石に躊躇われる。

「一樹が、欲しいんだ―――」

ずるい、と思う。
スキでスキで、たまらない相手に
欲情に掠れた声で
最高に色っぽい表情で
そんなお願いをされたら・・・

―――断れるわけ、ないじゃないか。

一樹は無言でシャツに手をかけ脱ぎ始める。
ベルトを外し、ジーンズから足を抜く。
そして下着も、一瞬の戸惑いの後一気に脱いだ。

―――藤岡はその姿を、微笑を浮かべて見つめていた。

「一樹、俺を跨いで―――」
「零・・・」

麻薬のような、声。
自分を意のままに動かす、視線。
一樹は無言で、藤岡の腹の上に跨った。

「そう、偉いよ・・・一樹」
「零・・・恥ずかしい―――」
下からジッと見上げられるのは、抱かれてワケが判らなくなっている時なら耐えられるが、理性が残っている今は、たまらなく恥ずかしかった。
そんな一樹に、藤岡はフフフッと笑う。
その声も、その笑みも・・・何故かとても色っぽい。

―――今日の零。何処かおかしい。やっぱ熱で・・・。
そんな時に、こんなコトしていて、いいんだろうか・・・?
現実に戻りかけた一樹に、藤岡の甘やかな声がかかった。

「一樹、キスして―――」

すでに魔力と化した藤岡の声に、一樹ははっと藤岡を見る。
綺麗な、綺麗な、零。
上気した白い肌と、誘うようにチラチラと見える紅い舌に、一樹は誘われるように自分の唇を重ねた。

「ふっ、・・・ぁ・・・」
キスと同時に、藤岡の手は一樹の双丘にかかった。
濡れた感触に、一樹は思わず唇も腰も引くが、藤岡の手にやんわりと戻される。

「あっ・・・ぅ・・・れ・・・」
いつのまにか用意された潤滑剤をたっぷりとつけた藤岡の手が、一樹の蕾を刺激する。
1つ1つの動きに反応してしまう自分を浅ましく思いながらも、一樹は藤岡に身を委ねる他なかった。

「んっ―――」
差し込まれた指に、一樹の躰は反応する。
ジワジワとはい上がってくる快感と、じれったさに・・・何とも云えず腰が揺れた。



部屋に響く濡れた音に、乱れる自分の吐息。
躰は、既に零を求め―――熱くなっていた。
「零・・・」
助けを求める。
その声に、藤岡は淫靡な笑みを浮かべた。

「一樹が乗って・・・俺は動けないから―――」
「えっ・・・」
一瞬、何を云われたか理解できない。

「一樹が上から腰を落として・・・俺を受け入れて」
想像し、一樹の頬が一気に染まる。

「無理ッ!!絶対、無理」
「一樹―――」
切ない、声。
でも―――
「やっ、オレ・・・無理だ!」
一樹の宣言に、一瞬沈黙した藤岡だったが・・・

一樹の背に、藤岡の腕が廻された。
「一樹・・・愛してる」
「れっ・・・零・・・」
潤んだ瞳に見つめられ、一樹は動けない。

「一樹が欲しいんだ。今すぐに―――」
吐息。
熱い吐息と共に囁かれる・・・掠れたバリトン。
一樹の躰中に、電撃のような快感が走った。

「一樹・・・」
「判った!判ったよ―――」
思わず叫ぶ。
これ以上続けられたら・・・それだけでイってしまいそうだった。

「コレで、俺を濡らして―――」
たっぷりと手の上に落とされた潤滑剤。
それを藤岡自身に塗る。
一樹の手の中で、より一層質量を増した藤岡に、一樹の喉が思わず鳴った。

「一樹、来て―――」
促される声に、一樹は片手で藤岡を支え、自分の腰を据える。
そしてゆっくりと・・・腰を落としていき―――

「あぁ―――」
襲ってきた痛みに、ギュッと目を瞑る。
どうしても、受け入れる時の最初の痛みは免れないのだ。
だが、それも忘れるような快感がすぐ―――

「んっ・・・、零・・・熱っ―――」
「一樹の中も、熱いよ・・・」
そういいながら、藤岡は微妙に突いてくる。
しかしそれではすぐに足りなくなった一樹が、自ら腰を動かし出すのは時間の問題だった。

「ひっ・・・あっ・・・あぁ―――」
「イイよ、一樹―――」
「零、おかしくなる・・・!!おかしくっ―――」
「おかしくなれよ。全てを見せて、一樹」
「あぁ・・・んっ―――」

一樹の淫らで扇情的なダンスは、長い時間続いた。


◇◆◇◆◇


「一樹・・・?」
藤岡は自分の隣で寝ている一樹に、少し驚きの顔を見せた。
その声で、目を瞑っていた一樹もうっすらと目を開ける。

「零・・・もう少し寝かせて。もう、オレ腰くたくただし・・・寝不足・・・・」
「一樹、お前いつの間に来たんだ?」
藤岡の言葉に、夢との境界線を歩いていた一樹の意識が一気に現実に戻った。
「なっ、何云ってる・・・。零、もしかして昨日のこと全然覚えてない・・・?」
「昨日のこと・・・?」
本気で不思議そうな顔をする藤岡に、一樹は叫んだ。

「うそだろっ。昨日した、あーんなコトや、こーんなコト・・・全部忘れたって云うのか!!」
「あーんなコト、こーんなコト・・・したのか?」
クスクスと笑いながら一樹を見つめる藤岡に、一樹は藤岡が覚えてることを知り、藤岡のイジワルに怒りが爆発した。

「馬鹿ッ!もう、知らねぇ!!!帰るっ!!」
勢いよく立ち上がろうとした一樹だったが、もちろん腰が立つわけがなく・・・

結局。
怒りのため我が儘になった動けない一樹の面倒を、甲斐甲斐しく藤岡が1日中見たのであった。



END



307000hitsです。ラストです。
これほどリクエスト通りになっていない話もないような・・・・。
藤岡、もっと誘え〜!!(笑)
つーわけで、以下はその頃のコメントです。

******

60000GETしたなちサンのリクエスト。
『いつもの「とにかく藤岡さんがおせおせで一樹君が流される」のではなく、
藤岡さんの誘って、誘って誘いまくる姿がみてみたぁい!!』でした。

水貴が頭を抱えて考えた結果・・・よくあるパターン『風邪話』にしてしまいました。
ふー、ボキャ少なくて、すんまそん・・・。
藤岡サン、誘えてるでしょうか・・・とっても不安です。
そして、藤岡話を書いてると水貴は毎回思うのです。
「一樹君、こんな男とは、さっさと縁を切った方がいいよ・・・」

一樹君を甲斐甲斐しく面倒を見る藤岡氏・・・っていうのもいいねぇ(笑)
いや、普段から甲斐甲斐しくみてるかな。半分保護者のように。

これからも、水貴&AngelRingをよろしくお願いします。

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