10000HIT記念(になっちゃいました・・・)

−初詣−



『―――藤岡と申しますが、一樹さんは……』
「零!!オレ、オレだよ…。」
『一樹……元気にしてたか?』
「うん。あったりまえだろ?」


師走。
31日の午後、母の言いつけで自分の部屋を片づけていた一樹の元に、久しぶりに愛しい人からの電話が鳴った。


◇◇◇


10月の文化祭が終わると、3年生達はだんだんと学校には来なくなり、12月に入るとほとんどの3年生は登校してこなくなった。
一樹の恋人・藤岡零も例外ではなかった。
藤岡は、国立一本。
"T大・K大、間違いなし"と言われてはいるが、それでも勉強はしないワケではない。
一樹のために、T大を大本命においてくれているのも……一樹は知っていた。



「零が……、零がK大に行きたいのなら、オレに遠慮なんかすんなよ!」
本当は離れるコトなんて考えられなかった。
だけど……。
自分の為に、零の輝かしい将来を変えて欲しくなかった。
零の頭脳なら……どんな道でもTOPを歩いていけるだろう。
でも、零のしたい事……したい道へと歩いていって欲しかったのだ。

「馬鹿だな……一樹は。」
クシャクシャッ、と藤岡は零の髪の毛をかき回した。
最初は子供扱いされていると感じていたこの行為も、最近は自分に対する愛情表現だと気付いた一樹は、その手をくすぐったそうに受けた。
「俺は、俺のしたいようにしている。T大に行きたい学部があるから行くんだよ。家からも通えるしな。それとも、一樹は俺が京都に行って欲しいのか?」
藤岡はイジワルそうな目をして一樹を覗き込む。
「違う……!!でも……オレは…零が行きたいところに行って欲しかったから……オレなら来年追いかけていくし」
語尾がだんだん小さくなる。
その時一樹は、グイッと腕を引かれると、藤岡の広い胸元に引き込まれた。
「ホント、お前はなんて可愛いんだ」
「―――オレ、可愛くなんかないよ……。」
「いーや、俺の一樹は可愛すぎる。1年も東京でほっとけないね。」
"俺の一樹"という藤岡の何気ない―――だが、かなりな言葉に―――一樹の頬は一気に熱くなる。

この、自分には目一杯甘くて、優しい1つ年上の"クールビューティー"―――しかし、かなり饒舌で皮肉屋―――に一樹はメロメロだったし、
いつもみんなには突っ張った態度をとり、みんなを夢中にして振り回すだが、本当は恋愛初体験で一生懸命ぶつかってくる"冷酷なる姫君"に、藤岡は夢中で目が離せなかった。

付き合いだして5ヶ月、二人はまだまだお互いがお互いに夢中な、ラブラブカップルだった。



この会話をしたのが…最後に学校に来た12月の始め。
その後はほとんどまともな会話も交わしていない。
電話は……。
一樹からは勉強のジャマになっては…と、出来なかった。
だから、いつも待つだけで……。
遂にクリスマスの日に爆発した一樹に、藤岡は夜中一樹の部屋に忍んできてくれて、お互いの情熱はぶつけ合ったが、月明かりの中でまともに顔を見ることも出来ず、会話らしい会話も全く出来ず、目が覚めると愛しい人は隣にはいなかった。

声が聞きたい……。
顔が見たい……。
優しく…愛して欲しい。

年末にかけて……一樹の心は暗くなるばかりだったのだ。

◇◇◇


「どうしたの、零?息抜き??」
思わず声が弾む。
『ああ、ま、一段落済んだしね。一樹に暴れられても困るし』
クックックと電話の向こうでかみ殺した笑い声が聞こえる。
その言葉に、カッと一樹の頬に朱が刺す。

たしかに、24日暇に飽かせて、街をブラブラとしていたら、あちらにも、こちらにもカップルだらけ。
落ち込んで家に帰ると、テレビでもクリスマス……。
イライラして、眠れなくて……深夜番組でカップルのいちゃいちゃする番組を見て…切れた。
深夜…1時を過ぎていたと思う。
飲んでいた酒の力も借りていた。
携帯電話の短縮0番を押して
『零――――!!あと、1時間以内に俺の所に来てくれなかったら……2丁目行ってやる〜!!浮気してやる〜!!』
と、叫んで切ったのだ。
それから、30分後。
零は窓から飛び込んできた。
そして、そのまま朝まで愛し合ったのだ。

考えてみると…電車もなかったはずなのに零は何で俺の家まで来たんだろう?



『―――――、一樹?』
クリスマスのことを思い出し、黙りこんでしまった一樹に、零は少し心配そうな声をかける。
「あ、ゴメン、零。何、なに??」
『ああ、明日暇なら、初詣行かないか?』
「―――い、行く行く!」
『よかった。明治神宮なんて行けないけど、近所の神社。明日迎えに行くから』
「うん!」

それから、一樹はレコード大賞も紅白歌合戦も上の空で、誰が大賞を取ったか、どちらが勝ったかも覚えていなかった。

◇◇◇


目の前には500CCのバイクがあった。
「――――零?」
メットを取ったら、サラサラッとした髪がフワッと揺れて、相変わらずの秀麗な顔が一樹の目の前にさらされた。
「おはよう、一樹。」
「零……ウチの学校バイクの免許は……」
「禁止だな。」
藤岡はニヤリと口元の右端を上げて笑った。
「俺はそんな優等生じゃないんだよ。」
そう言いながら、藤岡は一樹にメットを投げ、タンデムシートを指さした。
「さ、乗れよ。」



風を受けながら、藤岡の腰にしっかり捕まり、一樹は幸せをかみしめる。

好きだ。
好きだ。
好きだ。
何で、こんなにこの人のことが好きなんだろう。
こんな気持ち、なった事なかった。
朝も昼も夜も……気が付けば零のことばかり考えている。

今、何をしているんだろう。
勉強は進んでるんだろうか。
少しでも、オレのこと考えてるかな。

前の恋愛では(今では、アレは恋愛ではなかったと実感しているが)普段、相手のことを考えるなんて事はなくて、自分の感情はかなりドライだっただけに、最初は自分が女々しくなったみたいで、戸惑うばかりだった。
でも、今は……零のことばかり考えている、そんな自分も好きだと思うようになった。



「ほら、着いたぞ。」
メットを受け取った藤岡は、バイクを道の端に寄せキーを抜く。
一樹の自宅からは少し離れた所にある、こぢんまりとした小さな神社。
家族連れが何人かいておみくじを引いている。
「ほら、おいで。」
藤岡は、一樹の手を握って指を絡ませる。
外でそんなことをしたのは初めてで、顔を赤らめながら一樹は藤岡に視線を向けた。
「知り合いなんていないだろう?俺も一樹に飢えてるから、少しでも触れていたいんだよ」
う、飢えている……。
色んな事を想像してしまった一樹は、一瞬で耳の端まで赤くなった。
その姿を見た藤岡は、一樹の耳元に唇を寄せ「何を想像したんだ…?」と、掠れた声で囁いてくる。

この人は……。
この人は……。
なんてイジワルなんだ!!

一樹が恨みがましい目で見上げると、藤岡はニヤニヤと笑っていた。
―――この人のどこが"クールビューティー"なんだよ!!



そのまま二人は、神社でお参りをすますと、一樹のリクエストを聞きつつ、バイクで色んな所にいって沢山話をした。

日暮れ近くになって藤岡が「海……見に行こうか」と言いだし、海岸線をバイクで飛ばして、人気のない浜辺に二人は降り立った。

「零、今日スゲー楽しかった。」
「そうか。よかった。来週はどこに行く?」
「うん―――――――え?」
「来週。一樹はどこに行きたい?」
「ら、来週って…だって、零、勉強は?」
「俺も、ガマンをするのは止めようと思ってね。ホントの所いうと、一樹とこうして毎日遊んでいても、合格する自信はある。だが、周りがあまりにも五月蝿くて、いちいちそれを説得するのが面倒くさくて、自分さえガマンすればいいかと思ってたんだよ。」
「零……」
「だが、3週間弱で一樹は切れて暴れてくれちゃうし、それに俺もいい加減……」
藤岡は一樹を抱き寄せ、髪に顔を埋めた。
「限界だ。」
一樹も零の背に手を回してギュッと抱きつく。
「ごめ…ん、オレ、ワガママばっかり…」
「一樹の言ってるのは、ワガママじゃないさ。恋人の甘いおねだりっていうヤツだ。」
「オレ、零のこと好きで…好きで…もぅワケわかんなくて…。」
「俺も、お前のことばかり想って、おかしくなりそうだったさ」

藤岡は相変わらず、"愛してる"とはいってくれない。
でも、気持ちの全てを態度で示してくれる。





「あぁ、太陽沈みそうだ―――」
「初日の出は見れなかったけどな」
「スゲ――綺麗だな、零。」
見上げると、包み込むような視線で自分を見つめる藤岡と目があった。
自然に瞼が閉じていき、唇が近付く気配を感じた。

「愛してるよ、一樹」

夢心地の世界にいた一樹の意識が一気に現実に戻ってきた。

愛してる。
愛してる。
愛してるよ、一樹。


『オレモ、アイシテル』
一樹は条件反射のように、この言葉が出そうになったが、ココロが違うとブレーキをかけた。
藤岡は、そんな一樹に優しくついばむようなキスを繰り返している。

優しくて、オレを包み込むように守ってくれる。
イジワルで、いつもオレをからかってばかり。
でも、いつでもオレを想って大事にしてくれて……愛してくれる。
オレは……この人を…藤岡零を……
愛している。



「俺はお前を泣かせてばかりだな。」
「え?」
気が付くと目尻から一筋の涙がこぼれていた。
「お前には、辛い思いをさせたな。お前に愛されている自信を持つまで、言えなかったんだ。」
「自信って―――。オレ、好きだって……愛してるって言ってたじゃないか。」
「ああ、判ってる。俺自身の問題なんだよ。ゴメンな、一樹ずっと不安にさせた。」
「―――謝るなよぉ。」
一樹は藤岡の胸元に顔を埋め、肩を震わせた。

「愛してる、愛してるよ、一樹。お前だけを愛してる。」



藤岡の言葉を聞きながら、二人は日が沈みきるまでお互いを抱きしめあった。

祝10000HIT!!!!
あっという間に・・・・。
コレも皆様のおかげです〜ありがとうございました。
コレは、元々『キリバン小説』のタメの番外編だったんですが、この内容・・・番外編じゃダメだろう、と思いまして。
つーか、藤岡に『愛してる』を言わさないと・・・後の話続かないことに気が付きまして、『愛してる』を言ってるこの話が番外編じゃイカンやろう・・・と。

内容の方は・・・・。
ぐはぁ(吐血)
甘々ラブラブ〜
書きながら、砂吐きました。
途中で『ラブラブカップル』という表記が出てきましたが
水貴の少ないボキャブラリーでは、これ以外でこいつらを表現できませんでした。
なんか他にイイのないかの〜。
この話の中で出ているクリスマスに一樹が暴れた(?・・・暴れたのは藤岡ナンだけど)お話というのは
キリバン企画小説の中の『HolyNightにくちづけを』がそうです。
まだ読まれていない貴方!
ぜひ、レアナン&キリバンGETして、読んでみて下さいませ〜。


皆様、これからもAngelRing&水貴をよろしくお願いします〜。
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