視線シリーズ番外編 70万ヒット記念 |
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〜害虫の駆除方法〜 |
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無理矢理連れて行かれたコンパから帰ってきた亨の目に、テーブルの上に山済みにされた物体と、上機嫌に口をうごかしている英治が入ってきた。 「な、に食ってるの?」 「・・・・ケーキ」 そう。 テーブルの上に積み上げられた物体は―――ケーキ。 英治の大好きなチョコレートのブラウニーケーキなのだ。 「な、なんなの? その量」 亨は思わず恋人に問いかけた。 テーブルに山済みなのだ。 しかも、種類はブラウニーケーキだけ。 ちょっと異様な光景だった。 「貰ったんだよ」 もごもごと口を動かしながら亨の問いかけに答える英治は、何処か嬉しそうだ。 「も、貰うって・・・」 この、量を? 亨の戸惑った表情に、英治は「ああ・・」と肯いた。 「生徒に貰ったんだよ。今日、家庭科の実習で作ったらしい」 男子校である松華学園では、数年前より「男性も家庭科ができなくては、将来1人暮らしをした時に困る」という趣旨の元、授業の中に家庭科が取り込まれている。 もちろん、家庭科の中に調理実習があるわけで・・・。 「オレがチョコレート好きだっていったら、みんなくれたんだよ」 かわいいヤツラだよ。 英治の言葉に、亨の丹精な顔はみるみる歪んでいった。 想像がついた。 実習後、出来上がっていたブラウニーを誰か食べていたんだろう。 そこに通りかかった英治。 『美味そうなもん、食べてるな?』 『先生、食う?』 『おう。オレ、チョコレート好きなんだよ』 『あ、じゃあ俺のも・・・』 『僕のも・・・』 次々と差し出されるブラウニー。 英治は、満面の笑みで受け取ったはずだ。 そう・・・満面の笑みで―――。 亨は、ツカツカツカとテーブルへ歩いていくと、山積みになったブラウニーを両腕で抱え込んだ。 「亨・・・?」 不思議そうに問いかけてくる英治を、無視する。 亨は、そのまま両手一杯のブラウニーを、ゴミ箱に捨てた。 「な、何するんだっ!」 驚きの声をあげて、英治が立ち上がる。 「亨っ!」 英治を無視して、亨はアパートの玄関へと向った。 このままでは、英治にあたってしまいそうだったから。 だが、事情のわからない英治は、亨の肩をもって引き止めた。 「待てよ、亨っ! 何で、こんな事をするんだ」 英治は、怒っていた。 当たり前だ。 生徒から貰ったブラウニーをいきなり捨てられ、亨は呼び止める声も聞かず、何も言わずに部屋を去ろうとしたのだから。 「・・・判らない? 本当に、判らないんだ」 だが――― 振り返った亨の無表情に、英治は思わず息を呑んだ。 「あれほど、虫に気をつけてって・・・俺、何度も言ってたのに」
「んっ・・・!」 シーツを握り締めて、英治は亨の激しさを耐える。 顔をベットに埋め、腰だけを突き出した獣のような格好。 背後に亨の荒い息使いを聞きながら、英治はもたらされる悦楽に翻弄されていた。 『あれほど、虫に気をつけてって・・・俺、何度も言ってたのに』 そう言うと、亨は英治の腕を掴んでそのままベットへと連れて行った。 「な、やめろよ、亨ッ」 抵抗する英治を押さえつけ、亨は英治の服を毟り取る。 「前、俺言ったよね」 「な、何を・・・あっ」 前を捕まれ、乱暴に扱われる。 「寄って来る生徒に、気をつけてって」 「うっ・・・あぁ・・・!」 秘部に手を伸ばされ、ジェルと共に指を差し入れられた。 いつになく性急な亨の行動に、英治は息も絶え絶えになっていた。 そんな英治に対し亨は、ほとんど前戯もせずジェルを塗っただけで、強引に英治の中に押し入る。 「ううっ・・・くっ・・・」 苦しそうにしている英治に、亨は持って行きようのない怒りを彼にぶつける。 「どうして、下心ありありのプレゼントなんて、受け取ったりするの?」 「し、たごころって・・・、お前・・・」 生徒からのプレゼント―――しかも、たかが調理実習で作ったものだ。 いちいちそれを、下心とかなんとかなんて、考えてられない。 だが、嫉妬に狂っている亨に、それを説明してもわかってもらえるかどうか・・・。 強引に挿れられたが、馴れた英治の躯は次第に亨のソレに順応し優しく包み込む。 英治自身も、痛みと圧迫感から快感へと次第に与えられる感覚が変化していった。 「うんっっ、あぁ・・・」 「英治、すげぇ・・・締めつけてくる」 引きずられそうな感覚に、亨は奥歯を噛み締めて耐える。 ここで我慢すれば、お互いがさらに気持ちよくなれる事が判っているから。 「英治、ココだろ」 「アッ・・・ぅ・・・!」 知りすぎてるくらい、知ってる躯。 奥の一番イイ所をグッと突くと、英治の肩がビクンッと揺れ背中が波うち、握り締めたシーツを無意識に己の方へと手繰り寄せる。 ギュウと絞まり亨を呑み込む英治の内壁の動きに、亨は耐えられなくなり己の欲望をその奥へと叩き付けた。 「くっ―――」 「ああっ」 奥へ感じた熱い迸りに、英治も自分を解放する。 シーツの上に吐き出された欲望。 躯の力が抜け、その上に、倒れ込む。 射精の終った亨も、英治の腰を抱きながら、ベットへ倒れこんだ。
「食べ物を粗末にするのは、許せない。反省しろ!!!」 「・・・だから、英治・・・!」 意識の回復した英治は、亨をアパートから叩き出した。 亨の言い訳を、一切聞かないままに―――。 アパートの玄関の前で小さく溜息を吐いた亨は、隣の自分の部屋に戻る事にした。 怒りが収まるまで、暫く1人にしておくのがいいと、長年の付き合いから判断できたから。 英治に、下心ありの生徒を警戒させて近寄らせないようにするのは―――無理だ。 あの人は、全くの危機感がない。 もう1つの方法を使うか・・・。 また、藤岡さんに借りが出来るけど―――仕方ない。 部屋に戻った亨の頭の中は、食べ物を粗末にした反省ではなく、害虫の駆除方法でいっぱいだった。
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2002.4.20 |
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