「うわっ、スゲー」
青い空。
蒼い海。
日本とは違う、カラッとした空気―――
オレ羽田野一樹は、このゴールデンウィーク、ハワイに来たのだ。
話は2週間前にさかのぼる。
無事大学にも受かり、やっと大学生活を楽しみだした4月半ば。
突然オレの携帯電話が鳴った。
相手は、最愛の人藤岡零―――
「一樹、お前パスポート持ってたよな?」
「え?ああ、持ってるけど・・・それが何か?」
「ゴールデンウィーク、ハワイに行こう」
「はぁ?」
突然の展開に、オレが驚きの声をあげるのは当たり前だろう。
で、零の話を要約すると、こうだ。
零の一家は、毎年毎年ゴールデンウィークにハワイで過ごすのが恒例なのだそうだ。
で、今年もホテルもキープしてプランは完璧だったのだが
父親が「仕事が入った」とキャンセルし
母親も「お稽古の発表会があるの」とキャンセルしてきたのだ。
で、零も「じゃあ自分もやめようかな」と思ったのだが、そこでオレの顔を思い出したらしい。
2人で旅行もしたことないし、折角この機会だから、2人で旅行しないか?という事だった。
「そ・・・そんなお金無いよ・・・オレ」
バイトもまだしていないオレは、毎月貰ってる小遣いだけでギリギリの生活をしているのに、海外旅行代なんて捻出できるはずがない。
「いーよ、そんなのいらないから」
「え・・・?だって」
「ホテルはどうせ予約してるんだから、そのままその部屋を使えばいいんだし、飛行機だって、両親の席が余っているのだから、そこに乗ればいいんだ。」という、零の強引が説得にあい、半分首を傾げながらもオレは「じゃあ・・・」と肯いたのだった。
零に全面的に信頼を置いているオレの両親は、反対するワケがなかった・・・。
オアフ島の空港に到着して、感動して「わーわー」云っているオレに笑いながら零は「迎えが来てるから」と、慣れたようにスタスタとオレを連れて歩いていった。
「リ・・・リムジン!!」
目の前にある白いリムジンにオレが目を白黒させていると
「ハワイは観光地だからね。結構リムジンでの観光とか、リムジンでの出迎えとか、リムジンのタクシーとかがあるんだよ。そんなに驚くこと無いさ」と、零は笑った。
確かに、空港から街中に行くに連れ、リムジンを沢山見るようになった。
ワイキキの街に入ると、立ち並ぶホテル街に、上半身水着姿などで歩く観光客など沢山にて、そこはいかにも“ハワイ”だった。
「す・・・スゲー・・・ホテル・・・」
リムジンが止まり、ホテルのベルボーイが出てきてドアを開ける。
零はリムジンの運転手と2・3言話すと、リムジンから降りたって近寄ってきたそのボーイに荷物を預ける。
「さ、一樹。行こうか」
そう云って、零はオレの肩を持ってホテルのフロント向かった。
「アロハ―――」
笑顔が素敵なフロントのお姉さんに零もオレも微笑むと、お姉さんはオレ達にレイをかけてくれた。
―――すげー、こういうのってテレビだけじゃないんだな・・・。
かけて貰ったレイを見てキャッキャッ云っているオレを横目に、零は泊まる手続きをし部屋のカードキーを貰う。
全て零がしてくれるので、はっきりいってオレは零の後ろをカルガモの子供のようについて回るだけだった。
「わぁー、すげーよ、零!」
白を基調としたシンプルなデザインの部屋に、大きなベットが二つ。
そして、ガラス張りのベランダに広がる海。遠くにダイアモンドヘッドが見える。
空と海の青と蒼のコントラストの美しさに、オレは感嘆の声を上げた。
「ふふっ、そんなに喜んでくれるのならオーシャンビューにして正解だったな」
ベットに飛び乗り先ほど貰ったレイと戯れ、ベランダに出ては大騒ぎをするオレを見ながら、零は満足そうな笑みをこぼしていた。
「これから、どうする?一樹」
ベットで座り込んでいるオレに、ベルボーイから荷物を受け取り、部屋に戻ってきた零は問いかけてきた。
「零は・・・どうしたい?」
「俺はいつも来てるし、一樹の行きたいところに行こう。俺は一樹と居れたら何処でも楽しい」
零はオレを目をジッと見ながら、さらりとそう云う言葉を口にした。
「れ、零」
カァっと顔を真っ赤にし、云われたオレの方が動揺する。
なんで零って、いつも臆面もなく、こういう台詞を堂々と言えるんだよ・・・。
恥ずかしくて照れて俯いてしまったオレに、零ははフッと微笑み、オレの隣に腰をかけてきた。
「浮かれてるんだ、俺も。一樹と二人きりの旅行だから―――」
「零―――」
腰を抱き寄せられ、自然に目を閉じ零の首に腕をまわした。
「んっ―――」
甘い、甘いキス。
差し込まれた零の舌に、オレは自分の舌を絡め必死に吸い付く。
いつもながらの零の巧みなキスに、オレはすぐに躰中から力が抜けていった。
零が体重をかけてきて、自然にベットに押し倒される。
視線の端に、フロントで貰ったハイビスカスのレイがちらついたが、すぐにそれも忘れてしまったのだった。
「んっんっ、零ぃ―――」
繰り返されるキス。
深く貪られ息苦しくて仰ぐと、零は軽いバードキスを何回もしてくれて、オレの息を整えてくれる。
その間に自然に上の服は脱がされ、気が付くとジーンズ一枚になっていた。
「一樹、少し腰上げて・・・」
腰に響くバリトン。
ゾクゾクッとするモノが背中を駆け抜ける。
少し腰を上げた隙に、零はオレのズボンも下着も抜き取った。
ハワイに来て、ホテルの白いベットの上に、何も身にまとわず横たえられている自分。
オレはいきなり現実に戻って、一気に恥ずかしくなり身をよじる。
そんなオレに気付いたのか、上のシャツを脱いだ零はあやすようにオレの躰中にキスを落とした。
「愛してる、愛してるよ、一樹。」
付き合いだした頃、零はこの言葉を云ってくれなかった。
云って、と頼んだら、コチラの胸が潰れそうなほど苦しい表情で「ゴメン」と繰り返すだけで・・・。
半年経ったある日、初めてこの言葉を云ってくれた。
『―――自分に自信を持つまで、云えなかったんだ・・・』
あとでそう云ってくれたが、未だにその意味はオレにはよく判らない。
ただその後、零はオレを抱きしめるたび「愛してる」と云う言葉を優しく耳元で囁いてくれるようになった。
「零、オレも愛してる―――んぁっ」
胸の突起を軽く舌で舐められ、オレは思わず声を上げた。
「一樹はこっちのが弱いモノな・・・」
舌で転がされ、吸われ、カリッ軽く歯をたてられ、ハズカシイくらい反応してしまう。
その間に零の手は、既に起ち上がりつつあったオレ自身を優しく包み込んだ。
「あっ、やぁっ・・・零」
「こっちは嫌がってないよ、一樹。ほらっ、涙をこぼしだしてる・・・」
零はベットの中にはいると、急にイジワルになる。
恥ずかしくて云って欲しくない言葉ばかり、繰り返すんだ―――。
「くぅっ、ダメッ、ダメって―――」
胸から臍の周りを零の舌で愛撫され、先端から根本まで零の大きな手で愛撫され
躰中に駆けめぐる熱は、もう押さえられなくなっていた。
「先、イっちゃってもイイよ・・・。全部飲んであげる―――」
「えっ?あ・・やぁ・・・ああ・・・んぁぁ・・・!!」
イきそうになってる時に、零の熱い口腔に包み込まれキュッと吸い上げられ、オレは零の口腔内に貯まり貯まった熱を一気に解放した―――
ゴクッ
零の喉が鳴る音が響いた。
―――ハズカシイ・・・!!
オレは羞恥のため両腕で顔を覆った。
零は少し力の失ったオレ自身から口を離すと、そのまま太股の付け根にキスを落とす。
そして、ツツッ―――と舌を滑らしていき・・・。
「ダメッ、零・・・!!いやだぁ―――」
オレの後ろに舌を這わせた。
必死に零の顔を押しのけようとすると、零はオレの腕を掴み、少し欲望に燃えた目を向けた。
「潤滑剤はスーツケースの中。それを取りに行く余裕は今の俺にはないからね。」
そう云いながら、蕾の周りを舐め上げ、舌を差し込んでくる。
その感触、感覚・・・。
云いようもなくて、オレはあられもない声を上げ、悶え、そして最後にはすすり泣いたのだった。
零が唾液を送り込んだおかげで、普段は濡れないソコはしっとりと濡れ、差し込まれた零の指を難なく食い締めた。
「あぁ・・・れ・・・い。もっ・・・」
「もう・・・何?」
相変わらず、零はオレを焦らし続ける。
そして、零の指ではどうしても物足りないオレは、最後は云ってしまうのだ。
「挿れて―――」
「んんっ・・・!!イイ」
零のモノに満たされて、オレは後で絶対ききたくもない声で喘ぎまくる。
「どんな風に、イイんだ?」
この状態になったら、オレは・・・もうダメなのだ。
「あっ、んはぁ、でっかくって・・・熱くって・・・んぁ」
オレのあられもない告白に、オレの中にいる零の質量が増す。
「もっと、もっとおいで。一樹―――」
零はそう云うと、オレの腰を抱え、起きあがる。
「あっああ―――」
胡座をかいた零の上に乗り上げ、自分の体重でより一層繋がりが深くなりる。
「れ、零っ、深い―――」
「ああ、一樹の中・・・気持ちいい」
下から突き上げながら、零は耳朶を噛みながら囁いてくる。
零のこの欲望に濡れた瞳が、凄く色っぽい・・・。
「零、キスして欲しっ―――」
「いいよ、いっぱい、いっぱいしてあげる。」
お互い唇を貪りあいながら、オレ達2人は頂点へ向かって高まりあった―――
「目、覚めたか?」
バスローブ姿の零に軽くキスされ、オレはゆっくりと瞼を上げた。
「もう、夕方だよ・・・ほら」
窓から、赤い光が射し込んでいる。
「一樹、立てるか?立てそうだったら散歩に行こう。見て欲しい所があるんだ」
「うん、大丈夫。散歩行きたい」
零の手を借りて、オレはゆっくりと起きあがった。
「うっわぁ―――」
夕方になると、昼間は溢れかえっていた人が一気に減り
「ほらっ、あっち見て・・・」
零が指さす方には・・・
「ダイアモンドヘッド―――」
赤い夕日をさしたダイアモンドヘッドがあった。
「海も空も・・・真っ赤だ―――」
「前、一人でこの風景を見て凄く感動したんだ。今度は一樹と一緒に見れて、オレは幸せだよ」
夕日を受けて、優しく笑う零に、オレは抱きつきたい衝動に駆られたが、流石にそれは抑えた。
その代わりにオレは、零の小指に自分の小指を絡める。
「好き―――大好きだよ、零。」
その時の零の笑顔を、オレは一生忘れないだろう―――
|