BathTimeを邪魔しないで!





ふと目覚めると、自分を包み込む温かい感触に渚はいつもホッとする。
しばらくその感触の中で微睡んでいたい気分だったが、覚醒してしまうとベタベタした肌の感触に我慢できなくなってきた。
渚を包み込んでいる男は、未だに夢の中で、しばらく目覚めることはないだろう。
渚は腰にまわされた腕を慎重に外し、ベットの下に落ちているバスローブを拾い、裸だった自分の身に着けるとバスルームへと向かった。


◇◇◇


濡れた髪の毛をタオルで拭いながら、渚はベットルームへ戻ると、男はまだベットの中だった。
「そろそろ起きろよ、博隆。」
ベットに腰掛け、男の髪の毛を撫でる。
髪の毛に隠れていた精悍な顔が渚の前にさらされた。
そのまま顎のラインを撫で上げると、男の瞼が震える。
「んっ・・・渚・・・今、何時だ?」
渚の手を掴み、男は自分の口元にその細くて長い指を運ぶ。
「11時過ぎた」
「あぁ・・・」
渚の指を軽く噛みながら、男はゆっくりと起きあがった。

「モーニン、渚。愛してるぜ」
腰を抱き寄せ、耳元で囁く。
「起き抜けに馬鹿な事、云うな」
そう云いながらも、渚の声は甘い。
博隆は、渚の耳朶を甘噛みしながら、首筋にキスを落とす。
だが、渚の躰から匂い立つ石鹸とシャンプーの匂いに、すぐ不満の声を上げた。
「もう、シャワー浴びたのか?」
「お前が寝てるウチにね。」
博隆の細やかな愛撫に身を任せながら、渚は夢心地で答える。
「つれないな。待って一緒に入ってくれてもいいだろう?」
その途端、渚は博隆の肩を持ちグイッと自分の躰から押しのける。
そして、冷たく半眼した目で、宣言した。

「お前とダケは、絶対一緒に風呂には入らない!!」

突然怒りだした渚に博隆は驚きながらも、もう一度腰を抱き寄せ機嫌を窺う。
「ナニ、怒ってんだ?どうしたって云うんだよ。風呂ぐらいで・・・」
「お前・・・覚えてないのか―――」
「―――ナニを?」
ホントに判らないという口調で答える博隆に、再び怒りを覚えつつ、渚はイヤな思い出を口にした。

「高校の時。お前、風呂に入っていた俺にナニをしたのか、覚えてないって云うのか?!」
怒り心頭の渚の口調に、博隆も少し考える。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・あぁ」
「思い出したか」
「思い出したもナニも・・・。お前、まだあんな事で怒ってるのか?」
「あっ、あんな事だと・・・!!」



それは、9年前。
博隆も渚も、高校3年生だった、春。
寮が同室になって・・・2人が肉体関係を持つようになってから、少しした頃だった。


◇◆◇◆◇


渚の少ない趣味の1つ。
それが、入浴だった。
隣で本を読み込んでいた同室の男を放って、渚は上機嫌で部屋に備え付けられている風呂に入った。
ユニットバスというのは風呂好きの渚には気に入らないのだが、お湯をためれるようにバスタブは深く大きめなのは、満足していた。
そして渚が上機嫌で軽く髪の毛と躰を洗い、湯をバスタブに貯めていたときだった。

ガラッ

バスルームの扉の開く音がした。
「博隆か?」
バスの横にある、トイレに来たのだろうか?
俺が風呂に入ってるの知ってるだろうに・・・それぐらい待てよ、あいつも。

相変わらず常識のない博隆に、渚は心の中で悪態を付いていた時

シャッ
渚の目の前にあったビニールのカーテンがサッと開けられた。
「なっ!」
「おおっ、いい眺め」
一瞬固まってしまった渚だが、博隆のコトバにすぐ現実に戻る。
「非常識なっ!さっさとカーテンを閉めろ!お前は変態かっ」
「つれないなぁ、渚。一緒に入ろうぜ」

そう、博隆は既に裸だった。
余裕な笑みを浮かべながら、バスタブの中に入ってくる。
「なにをっ、お前っ・・・!!でっ、出ていけ!!」
「つれないな〜渚ちゃん」
博隆はニヤニヤと笑いながら、後ろを向いてしまった渚の腰を抱き寄せる。
「離せっ」
「そんな冷たい事云うなよ・・・なぁ?」
耳元に熱い息を吹きかける。
そのまま片腕は、渚の胸元へ。
「・・・くっ」
キュッと、紅い突起物を摘みこねると、渚の喉が鳴った。
「けっこー、感じるようになってきたよな」
含み笑いのような声と、その言葉の意味に、渚のプライドは深く傷つけられる。
「だっ、黙れっ!」
「本当のことだろ?ほら・・・ココだって」
博隆の指は、胸から臍のあたりをじっくりと愛撫し、ゆっくりと渚の下腹部に至った。
そこは、博隆の愛撫によって少しずつ力を持ち始めた渚自身が・・・。

「くっ・・・」
「感じろよ、俺を。」
押しつけてくる博隆自身は、既に準備万端状態だった。

「お前っ、こんな所で・・・!!」
「知ってたか?渚。狭いところの方が、燃えるんだぜ」
「しっ、知りたくもない!離せよ!!」
「ココまで来て、俺が離すと思うか?」
渚を抱えていた博隆の手は、渚の双丘を撫で・・・。

「うぁっ!」
いきなり指を突っ込まれた痛みに、渚は両手の爪を壁に立てた。
「やっぱ、男は勝手に濡れないから不便だな」
博隆の理不尽な言い分に、渚はカッとする。
「ならっ、その手を離せ!!女の代わりなんざまっひらゴメンだっ!」
再びはじめた激しい抵抗に、博隆は両腕で渚の腰を抱きかかえる。
「怒るなよ、ダーリン。それとも、女に嫉妬か?」
屈辱的な博隆のコトバに、目の前が紅く染まる。
「黙れっ黙れっ黙れえっ!!」
「俺が愛してるのは、お前だけだって、渚。わかってるだろ?ん?」
顎を掴まれ、唇を寄せられる。
「ふっ・・・!んんっ・・・!」
初めは激しい抵抗をしていた渚だが、合わせられた唇から送り込まれる激しい愛撫に、次第に躰の力を抜けていった。

「いいモノ見つけた・・・。」
耳元で囁く博隆のコトバを、ボウッと聞き流した渚は、その後自分の身に起こることなど想像もしていなかった。

「あっ・・・!」
冷たい感触。
渚の蕾にそれが押しあてられると、キュッとねじ込まれた。
「なっ、ナニを―――」
「力入れるなよ、割れちまうぜ?」
グイッグイッと奥にまで押し込まれる、ソレ。
ツルリとした球体のモノ。
「ナニを入れやがった・・・」
「コレ」
ニヤニヤと犬歯を見せて笑う博隆が、渚の目の前に示したのは・・・。
「バスオイルッ・・・!」
風呂好きの渚の趣味を知っている義姉が、送ってくれた色とりどりの球状のバスオイル。

そんなものを―――

「取れっ!取れよ!!」
奥にどんどんと飲み込んでいく何とも言えない感触に、渚は半狂乱になって博隆に噛みついた。
「まだ、入りそうだなぁ」
しかし、博隆は渚の云うことなど全く無視して、球体に自分の唾液を絡めて、もう1つ、2つと渚の秘所へ埋めていった。

「やっ・・・あっ・・・くぁっ・・・」
「力むなよ・・・渚」
入ってくる異物を思わず排除しようとしてしまう。
力が入るたびに、その形を感じてしまい・・・
ツルリとして・・・だけど柔らかく潰れてしまいそうな感触。
球状から感じる冷たさが、熱い自分の中で一段と・・・。

「博隆ぁっ、取ってっ・・・取れってばぁ!」
渚は自分を忘れて、博隆に縋り付いた。
「ンな事云っても、ホントは感じてるんだろ?ホラッココはこんなになってるぜ」
博隆は残酷なコトバを吐きながら、高ぶってしまった渚に触れる。
その快感に思わず力が入った渚は・・・

「やっ、あっ!ああぁ―――」

バスルーム全体に匂い立つ、シトラスの香り。
渚の蕾から流れ出す、オイル。

「や、嫌だ―――」
1つが割れ、ショックの余り力んでしまった連鎖反応で、2つ目・3つ目も渚の内部で割れる。
その感触に渚はパニックに陥り、狂ったように博隆に抱きつき爪を立てた。

「泣くなよ、渚。ホントはよかったんだろ?ん?」
渚の瞳から流れ落ちた涙を舌ですくい上げながら、博隆は甘い声で恋人を口説く。
パニックで我を失ってる渚は、普段では見れない追いつめられた子供のような瞳をして、博隆に縋り付いていた。

なかなか見れない渚の姿に満足した博隆は、既に熱くたぎっている自分の欲望も満足させようと、渚の蕾にそっと指を差し入れる。
「こっちも、溶けきって準備満タンだな。ほらっ、後ろ向けよ渚。壁に手を当てて・・・」
茫然自失してる渚は、博隆に示された通りのろのろと動いた。
普段では絶対しないような、壁に手を当て尻を博隆に向かって突き出すような格好で、博隆を待った。

「スキだぜ―――渚」
「博隆―――あうっ!」
博隆の台詞に我に返った渚だったが、博隆の熱い楔を打ち込まれ、狭い場所と不安定な格好というシチュエーションに、またすぐに自分を失う羽目になったのであった。


◇◆◇◆◇


「あの時の渚、可愛かったぜ」
「殺されたいのか、お前」
泣いて縋り付くという、渚の中で忘れたい記憶ベスト3に入る醜態だ。

「渚の泣き顔なんて、そう、なかなか見れるモノでもないしな」
博隆はニヤニヤと笑いながら、渚に視線を合わせてくる。

―――この男は、こうしていつも俺のプライドと羞恥心をものの見事にへし折っていく。

「怒るなよ、渚。な?」
チュッと鼻先にキスを落とし、傍若無人に振る舞う男は渚の顔を顔を覗き込む。

―――だが俺は、絶対許せないような事をしたこの男を、こうもあっさりと許してしまうんだ。

鼻先から唇に移されたキスを受けながら、渚は自分の情けなさを嘆いた。



「さっ、風呂に入ろうぜ」
渚の甘い舌を存分に味わった男は、立ち上がり、渚の腕を引いた。
「嫌だと云っただろうが―――」
その腕を振り払うと、男は渚の前でかがみ、ヒョイっと渚を肩に担ぎ上げた。
「うわぁっ、ナニするんだ。離せっ!!」
身長が180近くある自分が、まさか担ぎ上げられるとは思っても見なかった渚は、男の肩の上でバタバタと暴れた。
「こらっ、暴れんなって」
「降ろせよっ」
「まぁまぁ今度は前、試せなかった体位も試してみようぜ―――」
「なっ―――」
「“駅弁”はしなくちゃな。高校ン時は失敗したからな〜。あの頃と違ってダイブ鍛えたから、今度は余裕でお前を抱えられるぜっ」
高校の頃とは比べようもならないほど筋肉質になった男は、抱えた渚と共に笑いながらバスルームへと消えていった。

「いっ、嫌だぁぁ―――!!」

渚の悲鳴は今日も響く・・・・・・。



終わり・・・?





水貴は「そこはかとないエロ
」を目指したのですが、
どうやら、そこはかとないらしいです(苦笑)

渚さんは、高校生の頃から苦労のし通しです。
ふー、躰よく持ったね・・・っていってあげたい(爆)

読みたい!って云って下さっていた方々。
こ、こんなのでゴメンネ。

水貴伽世
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